第75期名人戦 第3局は、2日目に入りました。
下図は挑戦者の稲葉陽八段が手を封じた☗5五歩の局面です。

【 31手目  ☗5五歩まで 】


31手目以下の指し手
☖5二金     ☗5六角
☖7三桂     ☗7七桂
☖8一飛     ☗3五歩
☖同    歩     ☗同   銀(39手目)

封じ手は☖5二金でした。
封じ手を見て、佐藤名人は☗5六角としました。

☗5六角に代えて☗3五歩の仕掛けは、成立しないと佐々木大地四段は指摘します。☗3五歩以下、☖同歩☗同銀☖3四歩☗2四歩☖3五歩☗2三歩成☖2七歩☗同飛☖4五角(A図)

この仕掛けは、後手玉の位置が4一ならば、☗3二とが王手になるため成立しますが、5一にいるため失敗します。

【 参考A図  ☖4五角まで 】


よって佐藤名人は☗5六角と据え、3四 〜 2四への殺到に狙いを定めましたが
この角はあまり利いているように見えないと立会人の深浦九段は言います。

後手☖7三桂は自然な手とは佐々木大地四段。稲葉八段の自然な手に改めて感心させられると言います。
☖7三桂に対して(1)☗7七桂(2)☗3五歩の2択です。(2)☗3五歩以下は、(A)☖同歩☗同銀☖6五歩☗7七銀。6六に出た銀を7七へ引かされ、☗5七銀では将来、☖5五歩 〜 ☖5六歩とされたときに5七銀に当たり負担になります(副立会人阿久津八段)。
(B)☖同歩☗同銀☖6五桂。先手5七が薄く、6五桂が絶好の位置にいる(感想戦より佐藤名人)。

しかし、(1)☗7七桂はさらに指しづらいようです。以下、☖8四飛☗3五歩☖同歩☗同銀☖6五歩。桂交換になれば、後手のほうが選択肢が多くなります。5七の空間に桂や角換わり打ちが残り、先手は悩ましいのです。

先手玉は、6九のままで戦うしかないことを佐藤名人は感想戦で認めています。
囲っても良くならないばかりか、☖7三桂の価値が高いと。


【 39手目  3五同銀まで 】


39手目以下の指し手
☖7五歩     ☗同   銀
☖6五桂     ☗同   桂
☖同   歩     ☗4六銀
☖7四歩    ☗8六銀
☖6二玉  (48手目)

稲葉陽八段はノータイムで☖7五歩。
佐藤名人は意表をつかれたようです。
感想戦でも、なるほどと感心しました。
4六銀が3五へ出た瞬間を稲葉八段は狙っていたと思われます。
☗同銀に☖6五桂から桂交換が真の作戦です。先手は左右の銀が上ずり☖5七桂があるので☗4六銀としました。
一度3五へ出た銀をバックさせられました。かと言って、☗8九玉として☖5七桂を避けると☖5七角の王手銀取りで3五銀が素抜かれます。佐藤名人は常に5七が泣き所なのです。

よって☖6五桂に☗同桂に代えて☗6六銀も読むべきだったと佐藤名人は振り返りました(B1図)。

現地大盤解説の横山泰明六段によると、

☖7五歩に代えて☖6五歩からの手順を示しました。☖6五歩以下は、☗同桂☖同桂☗同角☖6四銀☗7四角☖6五歩(B2図)。☗同銀は☖5七桂で王手金取り。

☖7四歩も意表をついた手だと言います。☖7五歩と捨てて、いったん7筋から歩が消えたので、☖7七歩と金の頭に打つ含みがあったのです。☖6二玉と上がるには、7五銀は目障りです。構想の一環なのでしょう。


【 参考B1図  ☗6六銀まで 】



【 参考B2図  ☖6五歩まで 】




【 48手目  ☖6二玉まで 】





【 参照 】
日本将棋連盟ライブ
Abema TV
朝日新聞デジタル


初稿 V01 2017/05/06
更新 V00 0000/00/00